2007年 09月 21日
via senzanome |
長い一週間であった。息つく暇もなく走り回った、と言っても大げさでないくらい精神的にも肉体的にも忙しい日々が続いていたが、ようやく目処が付き始めほっとしているところである。その間、私が暮らす郊外の町ピアノーロもボローニャも確実に秋を深めていた。今朝8時ピアノーロの気温は9度であった。勿論もう素足にサンダルはご法度で、素足にモカシンシューズだ。それだけでも大分違う。大気は冷たい。が、そのおかげで澄んだ青い空が今日も良い天気になるよと言っているようだった。今日は金曜日。私が金曜日を単に金曜日と呼ぶことは稀である。大抵の場合、その前に"待望の"と付けて呼ぶのである。それにしても今日の金曜日は待望中の待望であった。疲れているからという理由もあるが、それよりも私は遊びたかったのである。遊びと言うと少し語弊があるかもしれない。私が言う遊びとは、時間を気にせずに足の向くままに散策することだ。家に早く帰らねばならぬ理由はない。それでは、といつもより先までバスに乗って暫く歩いていなかった界隈をゆっくり散歩した。ここはvia senzanome。日本語に直訳すれば "名無し通り" だ。その昔この通りは娼婦が沢山存在したのだと言う。客をとる娼婦達の宿が沢山あったのだと言う。それを教えてくれたのはこの通りに小さなアパートメントを借りていた若い日本人青年であった。一方通行の細い通りは静かで、ほんの少し寂びれている風でもあった。少し修復が遅れている界隈である。もしかしたら住人達がこの古い雰囲気を好んでそのままにしているのかもしれなかった。私にしてもそんな寂びれた感じが気に入って、ここの通りを歩くたびにカメラのレンズを向けたのであった。旅行者が足を踏み込まない界隈。ボローニャに住んでいながらも知らない人は以外と多くいるこの通り。そんな通りの路肩でレンズを向ける私の後ろを何人もの人が通り過ぎては足を止めた。通りの中程の左手に古い修復屋があった。古道具が工房の中に雑然と詰め込まれていて一見単なる汚い店だが、ガラス越しに目を凝らしてみると価値あるものが詰め込まれた宝庫のような店であった。ああ、あの左奥の壁際にある箪笥はボローニャのものに違いない。幅は120cm高さは180cm、奥行きは50cmあるかないかの煤けた家具は磨いたら美しい飴色の、恐らくは1800年代の価値ある家具のようだった。あたりを見回すと既に日が暮れかけていた。今度は早い時間に来てみよう。そうひとりごちながらここを後にした。
by yspringmind
| 2007-09-21 23:47
| bologna散策・あれこれ