2008年 12月 14日
笑顔 |
雨の日と雪の日と、寒い日が嫌いだ。言うなれば私の天敵みたいな存在で、このうちの1つならずも2つが重なるものならば、夕方の散策も週末の外出も考える前に辞めてしまう。それが私と天敵たちの関係だ。例えば、そうも言ってられない大切な用事があるならば、もちろん意を決して天敵に立ち向かう。しかしもし私に選ぶ余裕が少しでも与えられたなら、間髪いれずに温かく快適な室内に居ることを選んでしまう。そんなことを言っていたら冬は何も出来ない、何処にも行けない、と周囲の人は咎めるが、そんな咎めの言葉は私には何処吹く風、である。何しろ天敵なのだから。さて、金曜日の夕方、仕事を終えてからのボローニャ旧市街の散策とお喋りに誘われた。前日からひっきりなしに降り続ける雨、そして底冷えする寒い日であった。午後7時半から夜中まで交通機関のストライキもある嫌な金曜日の夕方であった。ここまで悪条件が揃うと考えるまでもなく、うーん、と考える振りをしながら断るのがいつもであるが、面白いことにうーんと考えながらポジティブの答えを出した。この心境に驚いたのは他の誰でもなく、私自身だった。ねえ、本当?本当にこんな日に出掛けるの?そう、外に広がる寒々しい陰気な眺めを横目で見ながら自問した。冷たい雨の降るボローニャ旧市街は、思っていた以上に陰気だった。ひょっとして友人は後悔しているのではないだろうか、こんな日に誘ったことを。誘った手前、彼女から辞めたいと言えなかったのではないだろうか。私が断っていたら彼女もこんな陰気な夕方に旧市街に来る必要もなかったのかもしれない。早歩きでポルティコの下を歩きながら、そんなことを考えた。目的地まではまだ遠い。約束の時間はもう過ぎていた。旧市街はストライキの集会でざわついていた。雨の中で集会する人の気持ちが知れない、が、それは私にはどうでも良いことであった。電話が鳴った。友人からだった。待ちぼうけをしてうんざりしているのだろう。ごめん、ごめんと誤りながらひたすら歩き続ける。しかし彼女もどうやらこの混雑で遅れているらしかった。どうしてまたこんな日に約束をしたのだろう、私達は。やっと到着した目的地の建物の中で冷え切った手と頬を摩りながらそんなことを考えていると、後ろから肩をたたかれた。友人だった。ああ、久し振り。元気だった?2ヵ月振りに見る彼女の明るい笑顔があった。あ、分かった。私はそんな明るい彼女が好きなのだ。明るい笑顔の彼女が天敵に勝った。
by yspringmind
| 2008-12-14 13:04
| 友達・人間関係