ブダペストから車で2時間ほどドナウ川に沿って北上すると、エステルゴムという町に到着する。初代国王が丘の上に、現在皆からバジリカと呼ばれている大きな大聖堂と王宮を築いたのだそうだ。それにしても大聖堂の大きいこと、大きいこと! 取り付けられた大きな扉の前に立つと自分が路上の石ころに感じるくらいである。丘の上から町を眺めていると時間が経つのを忘れてしまいそうになる。あれがドナウ川。そして川の向こう側がスロヴァキア。私達は何度もそう言いながら眺めを堪能した。ブダペストに比べれば断然規模の小さい町だが、しかしだからといって田舎町と一言で片付けてしまいたくない、美しく味わいのある町だ。町を巡る坂道や路地を歩いている途中、美しい緑の扉を見つけた。この町にはこんな風な色合いの素朴な扉が沢山あった。多分家主はこの緑色をとても気に入っているに違いない。