もしかしたらもう直ぐ良い展開があるかもしれない。そう思って自分を宥めすかしながら今日まできた。多分、本当にもう直ぐそこまで来ているのかも知れないけれど、私は疲れてしまったのだ。自分の人生なのに自分の人生じゃないみたいだ。大きな歯車にがっちり嵌め込まれてしまったみたいに自分の意志とは関係なく回転していく生活。そういう生活が嫌になり、そういう自分が嫌になった。長い人生の間にはそういう時期もあるのだと言い聞かせて騙し騙し来たけれど、そういう時期は後どのくらい続くのだろう。私は途方に暮れている。そんなことを母が聞いたら笑うかもしれない。好き勝手なことばかりしてきたくせに、疲れただの辛いだの軽々しく口にするものではないと叱るだろう。そうだ、多分私は我侭で世間知らずの苦労知らずなのだ。だから沢山のことは望まない。私は今、大きな歯車から降りてひとりになりたい。ひとりで旧市街のひと気のない裏道を黙々と歩くだけでも良い。私が今欲しいのはほんの少し自分を見つめ直す静かな時間だ。