2007年 02月 07日
いつもの人達 |
私は職場から3本のバスを乗り継いで家に帰る。その3本の乗り継ぎは非常に悪いのでバス停でじっと待つのは苦難という以外ない。一応時刻表は存在するものの、それは有って無いに等しい。中でも3本目のバスを待つのは辛い。目前で乗り過ごそうものなら20分は吹きさらしと排気ガスの中でバスを待つ羽目になる。そしてそういう時に限ってバスは遅れてやって来るものなのだ。だからそのバス停では何処の誰だかこそ知らないけれど誰もがお馴染みさんなのである。その3本目のバス停の横にはedicolaと言って新聞・雑誌の売店があり、そこは寒空の下でバスを待つ人達の憩いの場となっている。売店の側面のガラスショーケースには雑誌が展示されていて、買うわけではないが暇つぶしにそれらの表紙をガラス越しに物色したりする訳である。もう1週間も前から気になっていた雑誌があった。その雑誌の名は"autunno italiano"、イタリアの秋というタイトルだ。はっきり言って既に冬のイタリア、売れ残りの雑誌なのだが表紙に載っているポルチーニ茸を今まさに摘もうとしているイタリア人男性とその横には彼の猟犬・・・の写真、その雰囲気が妙に印象的なので、ひょっとしたらとても面白い本なのではないだろうか、と思い始めたら止まらなくなった。昨日の夕方なかなか来ないバスを良いことにその雑誌を買うことに決めた。売店の主すら既にその存在を忘れているような雑誌であった。そんなやり取りをしているところにバスが来てしまった。ああ、バスに乗りたい!でもお釣りを貰わなくちゃ!と我ながら滑稽に思えるほどバタバタしながら外に出たら、いつも一緒にバスを待つ丸っこい恐らくは私より若いであろうが私より10歳も年上に見える気の良い男性と、若くていつもスタイリッシュな装いの女性がバスに片足掛けて私の為にバスを止めてくれていた。嬉しくて思わず"わー、有難う。次回は私がバス止めてあげるからね"と言ったら、バスの運転手がまったく困るなあという顔を私たちに向けていた。それでそんな風にして買った雑誌は、こんなのあり?、と思うような内容だった。
by yspringmind
| 2007-02-07 13:10
| 友達・人間関係