先日の午後早く友人の両親が営む小さな花屋に立ち寄ってみたところ、予想していた通り店は昼休みだった。でも案外店の中で急に入った注文の小さなブーケや贈答用の花束を作っているのではないかと期待してガラス越しに中を覗き見したが、誰の姿も無かった。先程まで贈答用の美しい花束か何かを作っていたに違いない。作業テーブルの上にはそんな気配が残っていた。小さな花屋だ。でもこの界隈の人たちから好かれているらしく、注文が次々と入ってくる。長年続いているのは彼らの人柄に関係していると思うが、その予想は多分間違っていないだろう。店は閉まっているのに花が店先に出しっぱなしだった。切花を入れた器3つが、まるで留守番みたいな顔をして閉じられた入り口の脇に置かれていた。ポルティコの下には鉢植えの棚も置いてあった。何の工夫もされていない。隙あらば誰でも簡単に持ち去ることが出来るけど、誰が無断で持っていくでもない。店とこの界隈の人達の暗黙の了解みたいなものを嗅ぎ取って、何だか嬉しくなった。昔ながらの厚い人間関係が、この辺りにはまだ残っているのかもしれない。