暑い毎日。しかし7月なのだから仕方がない。真冬になればこんな暑さだってきっと懐かしく思えるに違いないのだ。町がにわかに閑散としだした。昨年はもっと早く町から人が消えたけれど、今年は少し遅いようである。7月も終わりになってやっと、である。閑散とした旧市街を歩くのは人混みが嫌いな私には全く有難い話であるが、何処へ行っても人が居ないというのも寂しいものだ。そのうえ人が居ないとバスの本数は減る。そして気に入りの店も夏期休暇に入ってしまう。3年前の夏、私はずっとボローニャに居た。訳あって町を離れられなかったのである。それで時々友人と待ち合わせの約束をして旧市街へ行ったはよいが、長話を楽しめる店が何処も休暇中で大変困ったものだ。あの夏は本当に店という店が閉まっていて、旧市街はゴーストタウンのようであった。すれ違う人も疎らで沈黙が町に詰まっていた。今年もまたその時期が近づいた。ひと気のない道を見つけては、3年前の夏を思い出す。